頭蓋仙骨治療 ( コラム
頭蓋仙骨治療に関する色々、順不同です
・ 考え方の固い人 ( 石頭 )
・ クレニオ・リズム・インパルス ( CRI )の発生するメカニズムについて
・ 脊柱と硬膜管について
・ 足と頭蓋
・ 仙骨と腰痛、歩き方
・ 大脳鎌について
・ その他の治療への応用

・考え方の固い人は、頭蓋骨も固い??

考え方に柔軟性が乏しい人を、『 あの人は頭が固くてどうしようもない 』 とか言いませんか?
いわゆる石頭ですね。
実際、そのような人の頭蓋骨を触ってみると、物理的にも固いようです。
こうなると、物理的な頭の固さをリリースしないと柔軟な発想は出てこないと思われます。
しかし、頭蓋骨をリリースすればそれで発想が柔軟になるとも言い難く、しかし、最低条件として頭蓋
骨は柔軟になっている必要があるように思われます。
また、芸術家やアーティスト、割と自由な生き方の人は頭蓋の右側(右脳)の動きが大きく、事務的な
定常作業をコツコツとこなしている人は頭蓋の左側(左脳)の動きが大きい傾向を感じます。
極端な例は、ストレスでガチガチの人は、頭蓋の動きにもそれが反映されている場合が多いです。
施術していまして『 ご苦労様です、楽になって下さいね。 』 と言う気持ちが沸いて来ます。

・ クレニオ・リズム・インパルス ( CRI )の発生するメカニズムについて
頭蓋仙骨治療(T)に、CRI について説明しましたが、ここではもう少し詳しく、CRI の発生するメカニズムについて説明します。以前示した図を、もう少し詳しく追記して掲示します。
先ず脳脊髄液ですが、図では便宜上水色に描いていますが実際は無色透明の液体で、量的には150CC〜200CC程度、血液やリンパ液と同様に循環しながらリフレッシュされ続け、1日で約3回入れ代わります。
因みに、血液は1日におおよそ10%入れ代わりますので、血液と比べると脳脊髄液の新陳代謝の早さが解ります。脳脊髄液はそれだけリフレッシュを必要としている訳です。
さて、脳脊髄液の分泌ですが、脳の中心で中枢神経の根本にある、脳幹と呼ばれる組織から吐出されます。
分泌された脳脊髄液の約半分は上方に循環し、大脳鎌の根本辺りで吸収され、残りの約半分は下方に循環し神経の中を染み出すように伝わり、抹梢よりリンパ液等と一緒に吸収されます。
この時、吐出はタイミングを自律神経によりコントロールされていますが、吸収は常に吸収され続けています。
また、吐出量は吸収量より若干多く、この為に吐出時には液圧が上昇し頭蓋は膨張することになります。
先ず吐出のサイクルから見て行きましょう、吐出が始まり液圧が上昇し膨張が起こりますが、ある一定の液圧に達すると吐出は止まり、膨張も止まります。
そうなると吸収機能のみが働いている状態となり、今度は液圧が下がり始め、頭蓋は収縮が始まり、ある一定の液圧まで下がると再度脳幹より液の吐出が始まります。
この様なメカニズムで、 膨張 ⇒ 収縮 ⇒ 膨張 ⇒ 収縮
と言うサイクルを繰り返しています。
このメカニズムにより、 クレニオリズムインパルス(CRI )と呼ばれる動きが発生し、具体的には、頭蓋横方向で約、0.02mm、凡そ紙1枚程度の移動量で、通常1分間に10〜15回のサイクルで膨張・収縮を繰り返しています。
この動作は本当に微細な動きですが、他のリズムである呼吸や鼓動とは独立しており、同時に、仙骨
及び尾骨は、頭蓋骨と同期して前後に揺動運動を行なっています。
これらの動きはさらに微細となり、骨格系全体の動きとして手や足の抹梢部まで伝わっており、頭蓋が横方向に膨張した時は両手・両足は外側に外旋し、仙骨・尾骨は引き込まれるように前方に揺動し、頭蓋が横方向に収縮した時は、両手・両足は内側に内旋し、仙骨・尾骨は押し出されるように後方に揺動します。
尚、これらの抹梢部は、動きだけであれば割と容易に知覚することが可能です。
因みに、個々の骨片は『 モティリティ 』 と呼ばれる骨片単独の動きも有しています。
身体全体で見ますと、これらの動き以外に、内臓の臓器にもモティリティがあり、心臓の鼓動、呼吸、等も独立した動きとして機能しています。
私たちの身体は、色々な動きが混ざり合ってハーモニーを奏でていますね。

椎孔の中を頭蓋から仙骨まで、
硬膜管が通っています。
・ 脊柱と硬膜管について
上述のイラストで、脊柱の中に硬膜管が通っている様子を説明しましたが、もう少し詳しく実際の形状に即してお伝えします。
椎骨は、写真の様に後方左右に横突起、後方中央に棘(キョク)突起があり、これらの突起の中心部に『 椎孔 』 と呼ばれる脊柱全体を上下に貫く孔があり、その中を硬膜管が通っています。
この硬膜管ですが、椎孔に対して部分的な糊付け状態で緩く付着する事で保持されています。
この緩い糊付け状態ですが、エリア的に付着がきつくなっているケースがある様です。
実際、頭部または足部等からのクレニオリズムの触診により、脊柱と硬膜管の関係性として癒着が感じられる場合があり、この様な現象は脊柱そのものの内側からの歪みとなり、しつこい腰痛等の要因の一つになっていると考えています。
一般的な、頭蓋仙骨治療とは趣が若干異なりますが、この滞りもリリースする事が出来ます。
・足と頭蓋
頭蓋骨の耳の上の継目が、骨盤と繋がって関係しているケースは『 頭蓋仙骨治療(T)』 でお伝えしました。
ここでは、もう1つの特徴的に繋がっているケースとして、足と頭蓋の関係についてお伝えします。
参考までに足の骨格模型の写真を右に載せます。
足の骨格も頭蓋と同じように寄木細工のようですが、頭蓋は縫合結合なのに対して、足は靭帯による結合です。
足の骨格系を施術した前後の具体的なと頭蓋の動きの変化についてお伝えします。
足の施術も奥が深いですが、骨と骨を繋ぐ靭帯の硬化によりアーチのバネ性が失われているケースがあり、その様な場合は、舟状骨、楔状骨(3ヶあります)、立方骨、中足骨(5本あります)辺りを緩めますが、この様な施術により頭蓋の動きが変化します。
通例、頭蓋は耳の上に左右にある、『 頭頂骨 』 が膨らんだり閉じたりの動きをしていますが、この動きはどちらかと言いますと、左右に動く感じです。
足の骨格を調整しますと、頭蓋は前頭骨も含めて中心から放射状に膨らんだり閉じたりの動きに変化します。
右足を調整すると頭蓋の右半分が、左足を調整すると頭蓋の左半分の動きが変化する感じです。
左右の足をともに調整しますと、頭蓋も全体が球のような感じで膨張収縮の動きに変化します。
頭部を上から見た骨格模型を下に示し、動きの変化をお伝えします。
通常の膨張収縮のイメージ 右足を緩めた後の膨張収縮のイメージ
生命として考えると、放射線状の動きの方が健全な感じはしますが、理由はわかりません。
このような時 『 人間の身体は全体で繋がっているのだなぁ〜。』 と再認識させられます。
・足の歪みについて(参考)
足の骨格ですが、体重がかかり酷使されますのでしばしば歪んでいるケースが見られます。
同時に足の骨格は全身の土台の役目を果たしており、足が歪むと全身の歪みに繋がる場合も多いです。
足の調整については『 外反拇趾の治療 』 に説明していますが、代表的な歪み等のケースとして以下があります。
 ・ 踵が歪んでいるケース(踵への施術では、頭蓋の動きはあまり変化しないようです)
 ・ 内アーチと外アーチは本来独立していますが、団子状態になっているケース
 ・ 内アーチ及び外アーチが固くなり、アーチのバネ性が失われているケース
  (上記のこの施術で、頭蓋の動きは最も変化する感じです)
 ・ 横アーチが崩れているケース

・ 仙骨と腰痛、歩き方

ここでは、仙骨周りの身体に及ぼす問題について説明します。
再度、右の写真を見て頂くと、仙骨の上には腰椎、左右に腸骨、下に尾骨があります。
骨格系を縦と横の要素で捉えると、仙骨はその中心に位置します。
従い、仙骨は色々な要素を持っていますが、ここでは私の考える最も大きな2つの項目について簡単にお伝えします。
・ 腰仙関節と腰痛について
腰椎は5個の椎骨より構成され、その最下部の腰椎5番と仙骨との関節が、腰仙関節で、謂わば腰の中心の関節です。
忙しく仕事に追われ、『 最近腰が固くなってきたなぁ。』 とか、腰をかがめる作業を続けて、『 腰が固まったなぁ。』 とか、感じたことはありませんか?
その様な場合、殆どのケースで、この腰仙関節の動きが悪くなっていまして、更に無理をしますと腰を痛めやすいです。
腰仙関節そのものを痛めてしまうこともありますが、腰の中心が固くなることにより、その周囲の関節に負荷が集中し、周囲を痛めてしまうケースも多いです。
実際に、腰仙関節を施術しますと、『 ああ、確かにここが急所だなぁ。 』 と実感される方が多いです。
・ 仙腸関節と歩き方について
身体全体を使った躍動的な歩き方が健康に良く、その為には、脚が腰から生えているような歩き方がベターです。
この様な歩き方は脚が長くステキに見えますが、仙腸関節が動いていて始めて可能になります。
逆説的には、仙腸関節の動きを改善しますと、歩くときに自然に骨盤が動き、脚が腰から生えているような感じになり、健康的な歩き方になります。
尚、歩き方については、以下に詳しく説明しています、参照下さい。
    ( ストラクチュアルインテグレーション < 歩き方について )
・大脳鎌について
私は、ある時に閃きがあり、自分で自分の大脳鎌と小脳テントの調整が出来るようになりました。
鎌とテントを自分で調整してみると、頭の中に鎌とテントの存在を感じられるようになり、自分の脳脊髄液の流れや、クレニオリズムも感じられるようになりました。
髄液の流れがよりスムーズになってみると、とても気持ちが良く、脳のCPUとしてのクロック周波数が上がった感じです。また、新陳代謝が向上したせいか、お酒が少し強くなりました。
この知覚の変化は施術にも現れ、クライエントさんの脳脊髄液の流れや滞りがよりハッキリと読めるようになり、施術のレベルが少し向上した気がしています。

・ その他の治療への応用

クレニオリズムインパルスは微小な動きですが、全身の骨格系が同じリズムで動いているため、この
動きを触診で読むことにより、全身の骨格系の歪みを読み取ることが出来ます。
頭蓋仙骨治療では、左右の頭頂骨の触診により頭蓋全体の滞りや歪みの部位を特定し、開放して行
きますが、同じ理論により、足の甲の触診により、胸から下の骨格系の滞りや歪みの部位を特定する
ことが出来ます。
これは腕についても同様で、手の甲の触診により腕全体の骨格系の滞りの部位を特定出来ます。
この触診技術は、抹梢を触診する事で全身の骨格系を俯瞰する形で診る事が可能となり、私の全て
の治療のベースとなっています。
言い換えると、私の全ての手技療法は、頭蓋仙骨治療の応用 とも言えると思います。


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